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柔道整復師は多すぎる?過剰供給の実態と今後を元業界人が本音で解説

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「整骨院が増えすぎている」「柔道整復師は飽和状態」。こういった声が業界の内外から聞こえるようになって久しいです。就業者数は10年で約1万5,000人増え(2014年63,873人→2024年78,666人)、施術所数はコンビニに迫るほどです。この記事では、柔道整復師の過剰供給の実態を厚生労働省の公式統計をもとに整理し、今後の選択肢を具体的にまとめます。

  1. 柔道整復師が「多すぎる」と言われる現状|5万施術所・養成校7.8倍増のデータ
    1. 就業者数と施術所数の推移
    2. コンビニに迫る整骨院の過密状況
    3. 「数より密度」が問題。患者はどこに向かったか
  2. 柔道整復師が過剰供給になった3つの構造的原因
    1. 規制緩和による養成校の急増(1998年14校→2015年109校)
    2. 療養費1,300億円超の減少が招いた収益悪化スパイラル
    3. 保険請求問題が真面目な院にも打撃を与えた理由
  3. 過剰供給が現場の年収・待遇に与える影響
    1. 平均年収約430万円の実態|看護師より約90万円低い現実
    2. 廃業・転職を選ぶ柔道整復師が増えている理由
    3. 廃業の予兆は数字より先に院の雰囲気に出る
  4. 「柔道整復師はやめとけ」という声の背景と実態
    1. やめとけと言われる主な根拠
    2. それでも続けている人が大事にしていること
  5. 今後の柔道整復師はどうなる?将来性の本音
    1. 養成校の減少で供給過剰はじわじわ解消される方向へ
    2. 高齢化需要・スポーツ分野で生き残れる可能性
  6. 過剰供給の時代を生き残る3つの選択肢
    1. 選択肢1:転職で活躍の場を広げる
    2. 選択肢2:自費メニューで保険依存から脱却する
    3. 選択肢3:追加資格で専門性を高める
  7. よくある質問
    1. これから柔道整復師を目指してもいいですか?
    2. 過剰供給の中でも食べていけますか?
    3. 転職を考えた方がいい時期の目安は?
    4. 柔道整復師が増えすぎた問題はいつ頃解消されますか?
  8. まとめ|今から動けば選択肢はある
    1. 転職・キャリアでお悩みの方へ

柔道整復師が「多すぎる」と言われる現状|5万施術所・養成校7.8倍増のデータ

就業者数と施術所数の推移

厚生労働省が公表している就業柔道整復師数と施術所数の推移を下の表にまとめました。2012年から2022年の10年間で、就業者数は約1万9,000人増加しています。

年度 就業者数(人) 施術所数(か所)
平成24年(2012) 58,573 42,431
平成26年(2014) 63,873 45,572
平成28年(2016) 68,120 48,024
平成30年(2018) 73,017 50,077
令和2年(2020) 75,786 50,364
令和4年(2022) 77,632 50,916
令和6年(2024) 78,666 50,924

出典:厚生労働省「衛生行政報告例(就業医療関係者)の概況」平成26年・令和6年版

注目すべき点は、施術所数が2018年前後から5万件台で横ばいになっている一方、就業者数はその後も増え続けてきたことです。1施術所あたりに集まる柔道整復師の数が増え、院内での人件費競争が起きている構図が数字から見えてきます。施術所の数だけで「過剰」と語られがちですが、実態はもう一段複雑です。

コンビニに迫る整骨院の過密状況

コンビニエンスストアの店舗数は全国で約5万6,000店(2023年時点)です。整骨院・接骨院の施術所数は5万件を超えており、その差はほとんどありません。「コンビニより多い」という表現が業界でよく使われる背景には、この数字があります。

東京・大阪・愛知など人口集中地帯では、同一商店街内に複数の施術所が並ぶケースも珍しくありません。患者数が増えないまま施術所だけが増えれば、1院あたりの来院数が下がります。これは当然の帰結であり、規模の大小を問わず院の経営に直接響きます。

「数より密度」が問題。患者はどこに向かったか

「コンビニより多い」という比喩はわかりやすいですが、問題の本質は数よりも「差別化できていない院が多い」点にあります。コンビニは近い方に入ればいいですが、整骨院は近さだけで選ばれません。

腰を痛めた患者が駅前の3軒を見渡したとき、外観も看板も施術内容もほぼ同じなら決め手がなく、結果としてどこにも行かない選択をする人が出てきます。患者の離反は供給過剰の結果だけでなく、院の差別化不足が引き起こした側面でもあります。同じ業界内で競合しているうちに患者全体のパイが縮んでいく構造を理解しておくことが、今後の対策を考えるうえで欠かせません。

柔道整復師が過剰供給になった3つの構造的原因

規制緩和による養成校の急増(1998年14校→2015年109校)

過剰供給の起点は、1973年以降に国が需給調整のため新しい養成校を指定していなかった時代にさかのぼります。1998年に養成施設の不指定処分をめぐる裁判で国が敗訴し、指定が相次いで校数が急増しました。

年度 養成施設数(校) 定員数(人)
平成10年(1998) 14 1,050
平成17年(2005) 78 7,049
平成22年(2010) 102 8,787
平成27年(2015) 109 8,797

出典:厚生労働省「柔道整復師学校・養成施設数、定員 年度別推移」(厚生労働省医政局・2015年まで)

1998年から2015年の17年間で、養成校は14校から109校へ約7.8倍に膨らみました。国家試験合格者も年間4,000〜5,500人規模で排出され続け、就業者数が急増する構造が生まれました。

療養費1,300億円超の減少が招いた収益悪化スパイラル

施術所が増える一方で、柔道整復師の主な収益源である療養費は大幅に減少しています。保険請求の適正化が強化された2010年代以降、療養費総額は2011年度のピーク約4,100億円(4,085億円)から2022年度には約2,700億円(2,747億円)まで落ち込みました。減少幅は約1,300億円、3割以上に相当します。

出典:厚生労働省「柔道整復療養費検討専門委員会 参考資料」・「令和4年度 医療保険に関する基礎資料(保険局調査課)」

1院あたりの保険収入が減り、患者数の取り合いが激化する悪循環が現場の年収と待遇を直撃しています。差別化できない院は廃業か売上低迷のどちらかを迫られる状況が続いており、院の規模を拡大しながら保険収入に頼っていた施術所ほど、この変化への対応が困難になりました。

保険請求問題が真面目な院にも打撃を与えた理由

保険請求の適正化の背景には、一部の施術所による過剰請求や傷病名の付け替えといった、保険制度の枠を外れた請求実態がありました。審査が厳格化されたこと自体は、制度の持続性を守るうえで必要な措置でした。

ただ、業界の内部にいた立場から正直に言うと、もっとも割を食ったのは真面目にやっていた普通の院です。書類の手間が増え、請求が通りにくくなり、収入が目に見えて減った。不正とは無縁だった施術者も、同じ保険制度の中で一括して締め付けられた形になりました。

「業界全体の信頼の問題」と一括りにされがちですが、その被害は均等に分配されていません。真面目に積み上げてきた院ほど、急激な変化への対応策を持っていなかったというのが現実です。

過剰供給が現場の年収・待遇に与える影響

平均年収約430万円の実態|看護師より約90万円低い現実

厚生労働省 job tag(令和6年)をもとにした柔道整復師の平均年収データと、他の医療系職種との比較を下の表に示します。

職種 平均年収(万円) 対柔道整復師比
看護師(令和6年) 519.7 +約90万円
理学療法士・作業療法士等(令和5年・同一区分) 約433 +約3万円
柔道整復師(令和6年) 約430 基準

出典:厚生労働省 job tag(令和6年)・賃金構造基本統計調査(令和5年)

平均年収約430万円という数字は、額面だけを見れば極端に低い水準ではありません。しかし勤務先によるばらつきは大きく、残業や休日対応が多い割に給与へ反映されにくい構造も、現場の不満として根強く残っています。

廃業・転職を選ぶ柔道整復師が増えている理由

全国の施術所数が2018年以降に横ばいに転じています。収益が上がらない院が新規参入院に患者を奪われて閉院するサイクルが続いており、その影響は雇用される側にも及んでいます。

勤務先が突然閉院した、院長が変わって給与体系が改悪された、といった話は業界内でよく聞きます。勤務先の経営状況が不安定なまま働き続けることへのリスクを意識して、早めに動き始める人が増えているのは自然な流れです。転職を考えるべき時期の見極め方については、別の記事でも詳しくまとめています。

廃業の予兆は数字より先に院の雰囲気に出る

院の経営が傾き始めると、財務の数字より先に現場の空気が変わります。備品の交換が後回しになる、スタッフルームのお菓子がなくなる、院長の機嫌が不安定になる。こういった小さな変化が積み重なり、院内にいて感じていたのは「ここはもう長くない」という空気でした。

統計上の廃業率は事後の数字ですが、現場では予兆が先に来ます。「なんとなく空気が変わった」と感じたとき、すぐに転職活動をスタートできるかどうかが、次のステップへ移れるかどうかを左右します。業界で実際に施術者として働いた経験がある人なら、この肌感覚の重さは数字より伝わるはずです。

「柔道整復師はやめとけ」という声の背景と実態

やめとけと言われる主な根拠

「柔道整復師はやめとけ」と言われる理由は、大きく3点に集約されます。第一に年収の低さと上昇の見えにくさ、第二に保険診療の先細り、そして第三に過密競争による雇用の不安定さです。国家試験の合格率が直近4回(第31〜34回)で49.6〜71.5%の範囲で推移しており(厚生労働省「柔道整復師国家試験の施行」参照)、資格取得の難度そのものも上がっています。

これらは事実として否定できません。ただし、どの程度当てはまるかは働く環境と本人の立ち回りに大きく依存します。「業界全体が厳しい」ことと「自分のキャリアが行き詰まる」ことは、イコールではありません。

それでも続けている人が大事にしていること

業界が厳しいにもかかわらず長く続けている人たちに共通するのは、「整骨院での保険診療だけを唯一の収益源にしていない」という点です。自費メニューを加えた、スポーツ分野に移行した、追加資格で専門性を高めた。選択肢を複数持つことで、業界全体の波に振り回されにくくなっています。

「やめとけ」という声は、「工夫せず保険診療だけで整骨院に居続けるのはやめとけ」という意味に近いと解釈するのが現実的です。資格そのものの価値は、使い方次第で大きく変わります。

今後の柔道整復師はどうなる?将来性の本音

業界全体の中長期的な見通しについては、柔道整復師のキャリアプランと将来の展望でより詳しく解説しています。ここでは過剰供給と絡めて、現実的な見通しを整理します。

養成校の減少で供給過剰はじわじわ解消される方向へ

養成校の数は2015年の109校をピークに減少し、2026年2月時点では97校(厚労省 養成施設検索)となっています。2015年時点で定員充足率は6割台まで下がり、入学者も2012年の6,309人から4,990人に減っていました。結果として、国家試験合格者数も2015年の約4,500人(第23回 4,503人)から2023年は2,244人(第31回)まで、ほぼ半減しました。

就業者数の伸びが鈍っているのも(2022→2024年は+1.3%)、この流れと連動しています。ただし現時点での施術所密度はすでに高い水準にあるため、短期的な需給バランスの改善は見込みにくい状況です。供給が自然に減っていくとしても、今の30代・40代の施術者がその恩恵を実感できるのはかなり先の話になります。若い世代ほど中長期での環境改善が期待できる一方、現役世代は今の環境の中で自分の立ち位置を取りに行く行動が必要です。

高齢化需要・スポーツ分野で生き残れる可能性

高齢化の進展は、筋骨格系の医療・リハビリへの需要を押し上げます。変形性膝関節症や腰痛の保存療法として、整骨院が担う役割は引き続きあります。スポーツトレーナーやアスレティックトレーナーとしての活躍の場も広がっており、資格を活かせるフィールドは整骨院だけではありません。

過剰競争の中でも、「専門特化」「自費移行」「資格追加」のいずれかの軸で差別化できた院や個人は、一定の収益を維持できています。業界全体の数字が厳しくても、立ち位置次第で状況は変わります。整形外科クリニックなど保険外での活躍に興味がある方は、整形外科で働く柔道整復師の仕事内容と求人事情も参考にしてください。

過剰供給の時代を生き残る3つの選択肢

選択肢1:転職で活躍の場を広げる

柔道整復師の資格は整骨院以外でも活かせます。スポーツジム・フィットネスクラブでのトレーナー職、介護施設での機能訓練指導員、医療機器メーカーの営業職など、スポーツジムやフィットネス施設への転職を具体的に解説した記事もあわせて参考にしてください。保険診療への依存度が低い職場では、療養費の減少に左右されにくい収入基盤を作ることができます。

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選択肢2:自費メニューで保険依存から脱却する

療養費が減少傾向にある中で、保険診療だけに頼る経営は収益の安定性が低下しています。ドライヘッドスパ・整体・パーソナルトレーニング・栄養指導といった自費メニューを加えることで、客単価と来院頻度を同時に高めることができます。

すでに患者との信頼関係がある状態での移行は、一から集客するよりも成功率が高くなります。ただし自費施術には技術力だけでなく、患者への説明力とコンセプト設計が伴う必要があります。

選択肢3:追加資格で専門性を高める

鍼灸師・あん摩マッサージ指圧師の資格を追加することで、提供できる施術の幅が広がります。NSCA-CPTやJATI-ATI(日本トレーニング指導者協会)などのトレーナー資格を取得すれば、スポーツ分野でのポジションを確立できます。柔道整復師のダブルライセンス取得の考え方と選び方については、別記事でも詳しく解説しています。

資格追加はコストと時間を要しますが、就職・転職・独立のどのシナリオでも選択肢を広げる効果があります。複合的なスキルを持つ柔道整復師は、同じ業界内でも市場価値の水準が変わってきます。

よくある質問

これから柔道整復師を目指してもいいですか?

国家資格としての価値はなくなりません。ただし、整骨院での保険診療だけを前提とした働き方では、年収の上限が見えやすくなっています。スポーツ・介護・医療機器・美容など、資格を活かせるフィールドを広く想定したうえで目指すのであれば、現時点でも選択肢として成立します。入学前に卒業後のキャリアパスを具体的にイメージしておくことが、後悔しないための準備になります。

過剰供給の中でも食べていけますか?

食べていけるかどうかは、働く環境と本人の動き方次第です。繁盛している院でスキルを磨きながら自費や専門分野へのシフトを早めに意識できる人は、業界の厳しさの中でも一定の収入を確保できています。整骨院業界全体が厳しいのは事実ですが、個人レベルでは動き方で変えられる部分が大きいです。業界を選ぶのではなく、業界の中でどこに立つかを選ぶ意識が重要です。

転職を考えた方がいい時期の目安は?

勤続5年目以降で年収が横ばい、かつキャリアアップの話が一切出てこない状況が続くなら、一度市場価値を確認する機会として転職活動をスタートする価値があります。転職活動は始めたからといって必ず転職しなければならないわけではなく、現状を客観的に把握するために動くことも有効です。エージェントへの相談は無料でできるため、まずは話を聞いてもらうだけでも情報が増えます。

柔道整復師が増えすぎた問題はいつ頃解消されますか?

養成校の数は2015年の109校から2026年2月時点では97校(厚労省 養成施設検索)まで減少しており、新規参入者数は確実に減っています。ただし既存の就業者数は約7万9,000人であるため、数年で解消する見込みは薄い状況です。現役世代が「供給適正化の恩恵」を受けられる可能性は低く、今の環境の中で自分の立ち位置を取りに行く行動が現実的な対応です。若い世代ほど長期では環境改善が見込める一方、すでにキャリアの中盤にいる方は環境改善を待つより自分で動く方が得策です。

まとめ|今から動けば選択肢はある

柔道整復師の過剰供給は、統計上明確な事実です。就業者約7万9,000人(2024年)・施術所5万件超・養成校7.8倍増という数字が積み重なって現在の状況が生まれています。療養費の減少と院内競争の激化も、現場の収入と働きやすさに直接影響しています。

ただし、業界全体の課題と個人のキャリアは別の話です。転職・自費移行・追加資格という3つの軸のいずれかで動き始めた人は、業界の厳しさの中でも道を切り開いています。まずは今の自分の市場価値を把握することから始めてみてください。

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META_DESCRIPTION: 柔道整復師の過剰供給の実態を厚生労働省統計で解説。就業者約7万9,000人・施術所50,924か所・養成校7.8倍増の背景から、平均年収約430万円の現状と今後の将来性、転職・自費移行・資格追加の3つの選択肢を元業界人視点でまとめます。

この記事を書いた人
高橋 大輝
柔道整復師として整骨院で8年間勤務し、院長代理として現場管理も経験。自身の転職活動で複数のエージェントを使い比較した経験をもとに、治療家の転職・キャリアに関する情報を発信しています。資格取得から独立まで、現場目線でお届けします。

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