この記事でわかること
- 「鍼灸師やめとけ」と言われる4つの理由
- 実際に辞めた人のリアルな本音と後悔の有無
- 続けている人が「やめなくてよかった」と思う瞬間
- あなたに合ったキャリア判断の基準

「鍼灸師はやめとけ」って、親や友人から言われた人も多いんじゃないかな。僕も柔整の世界にいたから分かるけど、治療家の仕事って外から見ると「大変そう」の一言で片付けられがちだよね。
「鍼灸師はやめとけ」——家族、友人、ネットの声。鍼灸師を目指している人、あるいは現役の鍼灸師でこの言葉を耳にしたことがある人は多いでしょう。
確かに、鍼灸師の平均年収は382万円と高くなく、就業者数の増加による競合激化も事実です。しかし一方で、年収600万〜1,000万円を超える鍼灸師も実在します。
「やめとけ」は本当に正しいアドバイスなのか。この記事では、実際に辞めた人と続けている人、両方のリアルな本音を比較し、あなた自身の判断材料を提供します。
「鍼灸師やめとけ」と言われる4つの理由
まず、なぜ「やめとけ」と言われるのか、その背景を整理します。
理由1:初任給が低い
鍼灸師の初任給は手取り16万〜19万円が一般的です。
3年以上の専門学校と数百万円の学費をかけて国家資格を取ったのに、スタートの給料がこれでは「やめとけ」と言われるのも無理はありません。
特に、大卒で一般企業に就職した同世代と比べると、20代の年収差は100万円以上になることもあります。
理由2:就業者数が増え続けている
鍼灸師(はり師・きゅう師)の就業者数は約12万人(2020年時点)。10年前の約9万人から約3万人も増加しています。
養成校も乱立しており、毎年新しい鍼灸師が市場に参入。需要の伸びよりも供給の増加が上回っており、競合がますます激化しています。
理由3:鍼灸単独では食べていきにくい
鍼灸師の保険適用範囲は柔道整復師に比べて狭く、保険施術だけで生計を立てるのは困難です。
医師の同意書がなければ保険が使えない疾患も多く、実質的に自費施術が収入の中心になります。しかし、自費メニューの集客にはマーケティングスキルやSNS運用が必要で、施術だけできても収入にはつながりにくいのが現状です。
理由4:認知度・信頼度の壁
整骨院に比べて、鍼灸院の認知度はまだまだ低いのが現実です。
「鍼って痛そう」「お灸って何に効くの?」——一般の人にとって鍼灸はまだ馴染みの薄い治療法。集客のハードルが高く、開業しても患者が来ないという鍼灸院は少なくありません。

ここまでは「やめとけ」側の根拠。確かに事実だけど、これだけで判断するのは早い。次は実際の声を聞いてみよう。
辞めた人のリアルな本音
実際に鍼灸師を辞めた方々の声を紹介します。
ケース1:鍼灸院→一般企業の事務職(27歳・女性)
「3年間鍼灸院で働きましたが、手取り17万円で昇給の見込みもゼロ。院長との2人体制で相談相手もいない。思い切って事務職に転職したら、初年度から年収350万円で土日休み。毎日が楽になりました。鍼灸の技術はもったいないけど、生活の安定には代えられなかった。」
ケース2:鍼灸院→医療機器メーカー営業(31歳・男性)
「鍼灸師として6年。年収は350万から一向に上がらず。営業職に転職して2年目で年収500万を超えました。鍼灸の知識が商談で活きるので、キャリアチェンジというよりキャリアの延長線だと思っています。」
ケース3:開業→閉院→会社員(35歳・男性)
「開業4年目で閉院しました。技術には自信があったけど、集客ができなかった。SNSもホームページもやり方がわからず、毎月の固定費に追われる日々。施術スキルと経営スキルは全くの別物だと痛感しました。」
ケース4:鍼灸院→介護施設(29歳・女性)
「鍼灸の資格を活かして機能訓練指導員として介護施設に転職。年収は鍼灸院時代とほぼ同じ330万ですが、残業ゼロ・土日休み・社保完備。QOLが劇的に上がったので後悔はありません。」
続けている人のリアルな本音
一方で、「やめとけと言われても続けている」人たちの声も紹介します。
ケース1:美容鍼に特化して年収700万(36歳・女性・開業4年目)
「美容鍼に特化して開業しました。1回12,000円の自費メニューで、リピート率80%。Instagramで集客できるようになってから予約が途切れません。「やめとけ」って言ってた人たちは、今の私の状況を知らないでしょうね。」
ケース2:スポーツ鍼灸でプロチーム帯同(33歳・男性)
「プロサッカーチームのコンディショニングスタッフとして働いています。年収500万。好きなスポーツに関われて、選手から頼りにされる。この仕事じゃなかったら、ここまでのやりがいは感じなかった。」
ケース3:訪問鍼灸で月収55万(42歳・男性・個人事業主)
「40歳から訪問鍼灸に切り替えました。高齢者の在宅ケアで需要が大きく、月20日稼働で月収55万円。テナント不要で固定費が低い分、利益率が高い。院を構えるだけが鍼灸師じゃない。」
ケース4:不妊鍼灸の専門家としてブランド確立(38歳・女性・開業6年目)
「不妊に悩む女性専門の鍼灸院を経営。1回10,000円の施術で月30人。口コミだけで予約が埋まります。専門特化したことで「この先生しかいない」と言われる存在になれた。年収は800万超え。」
ケース5:鍼灸+パーソナルトレーニングの複合型(30歳・男性)
「鍼灸の施術にパーソナルトレーニングを組み合わせたメニューを開発。1回90分・15,000円で、アスリートやフィットネス層に人気。「鍼だけ」「灸だけ」にこだわらず、掛け算でサービスを作ったのが正解でした。」

見えてきたでしょ?辞めた人と続けてる人の違い。「鍼灸師だからダメ」なんじゃなくて、「何に特化して、どう売るか」で結果が全然変わるんだよ。
自分に合った判断基準
「やめとけ」と言われて揺れている方のために、判断の軸を整理します。
こんな人は鍼灸師を続けるべき
- 鍼灸の施術自体が好きで、技術を磨くことにやりがいを感じる
- 美容鍼・不妊鍼灸・スポーツ鍼灸など、特化したい分野がある
- SNSや集客に興味があり、自分でマーケティングを学ぶ意欲がある
- 独立・開業に対して具体的なビジョンがある
- 今の職場が合わないだけで、鍼灸という仕事自体は辞めたくない
こんな人は別の道を考えるべき
- 鍼灸の施術に興味や情熱を持てなくなっている
- 3年以上働いても年収300万円台から抜け出せず、打開策が見つからない
- 安定した給与・福利厚生・休日を最優先したい
- 集客やマーケティングに全く興味が持てない
- 身体の不調が慢性化しており、施術の継続に不安がある
| 判断基準 | 続けるべき | 別の道を検討 |
|---|---|---|
| 施術への情熱 | ある | なくなった |
| 特化分野 | ある or 見つけたい | 特にない |
| 経営・集客への関心 | 学ぶ意欲がある | 全く興味がない |
| 収入の優先度 | やりがい重視 | 安定・金額重視 |
| 身体の状態 | 問題なし | 慢性的な不調あり |
鍼灸師を辞めた後の選択肢
鍼灸師から転職する場合の主な選択肢を紹介します。
| 転職先 | 年収目安 | 鍼灸資格の活用度 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| 別の鍼灸院・整骨院 | 300〜450万円 | ◎ | 環境を変えるだけで改善するケースに |
| 介護施設(機能訓練指導員) | 300〜400万円 | ○ | 土日休み・残業なし。安定志向の人に |
| 美容サロン・エステ | 300〜450万円 | ○ | 美容鍼の経験があれば即戦力 |
| 医療機器メーカー営業 | 400〜700万円 | △ | 現場知識が強みに。年収大幅アップの可能性 |
| IT・異業種 | 350〜600万円 | × | 20代後半〜30代前半なら未経験可能 |
よくある質問
まとめ:「やめとけ」の声に流されない判断を
この記事のポイント
- 「鍼灸師やめとけ」には構造的な根拠がある(低初任給・競合増・集客難)
- 辞めた人の多くは「生活の安定」を手に入れたが、施術への未練を感じる人もいる
- 続けている人は「特化分野」「自費メニュー」「集客スキル」を武器にしている
- 「鍼灸師をやめる」と「今の職場をやめる」は別の判断
- まずは転職エージェントに相談して、客観的な市場価値を確認するのが第一歩
「やめとけ」という言葉は、あなたの状況や可能性を知らない人の一般論です。大事なのは、自分自身のスキル・情熱・ライフスタイルに合った判断をすること。
続けるにしても辞めるにしても、正しい情報と客観的な視点があれば後悔しない選択ができます。

「やめとけ」って言葉で立ち止まるのも、それを跳ね返すのも、全部あなた次第。でもまずは、冷静に情報を集めてから決めよう。それが一番後悔しない方法だよ。


