「今の職場を辞めてから、じっくり転職先を探そう」と考える治療家は少なくありません。ですが、収入が途切れた状態での転職活動は、想像以上に焦りを生みます。
柔道整復師や鍼灸師は人手不足の現場が多く、「辞めます」と切り出しづらい職場も多いものです。院長との距離が近いぶん、退職の意向を匂わせるだけで職場の空気が変わることもあります。さらに、治療家業界は同業者のコミュニティが狭く、転職活動が噂として広がりやすい環境でもあります。だからこそ、在職中に静かに動くことで、年収もキャリアも守りながら次の職場を選べます。この記事では、職場にバレずに転職活動を進める5ステップを、元治療家の視点でまとめます。
治療家が在職中に転職活動を進めるべき理由|辞めてからでは不利になる
転職活動は「在職中」と「離職後」で進め方も結果も大きく変わります。まずは両者を5つの観点で比べてみます。
| 比較項目 | 在職中に活動 | 離職後に活動 |
|---|---|---|
| 収入 | 給与が途切れず生活が安定する | 収入ゼロで貯金が減り続ける |
| 精神的な余裕 | 焦らず納得いくまで比較できる | 「早く決めたい」焦りが出やすい |
| 選考での印象 | ブランクがなく経歴を説明しやすい | 空白期間の理由を必ず聞かれる |
| 年収・条件交渉 | 今の待遇を基準に強気で交渉できる | 早く決めたくて条件を妥協しやすい |
| 活動にかけられる時間 | 休日・勤務後に限られ確保が課題 | 時間は十分にあるが金銭面で焦る |
※ 在職中・離職後それぞれの一般的な傾向を整理したものです。
離職後の転職活動が「収入・精神・選考」で不利になる3つの理由
辞めてから探す方法には、3つの落とし穴があります。
1つ目は収入の断絶です。次が決まるまで毎月の生活費が貯金から出ていくため、家計のプレッシャーが判断を急がせます。治療家の転職活動は、面接から採用まで数週間かかることが多く、内定後も入職日まで1〜2ヶ月待つのが一般的です。離職後に活動を始めると、その間ずっと無収入で過ごすことになります。
2つ目は精神面の消耗です。「早く働かないと」という焦りは、待遇の妥協につながりやすく、結局また同じ不満を抱える職場を選んでしまうことがあります。転職は「現状から逃げる」ためではなく「自分のキャリアを積み上げる」ために行うものですが、離職後の焦りはその視点を失わせます。3つ目は選考での印象です。離職期間が長いと、面接で「なぜすぐ転職しなかったのか」と空白の理由を問われます。在職中なら、こうした不利をまとめて避けられます。
在職中なら年収・休日・働き方を冷静に比較して選べる
在職中の最大の強みは、今の待遇という「基準」を持ったまま動ける点です。年収・休日数・残業の有無・自費メニューの比率・賞与の有無・昇給制度などを並べて、本当に条件が上がる職場だけを選べます。
厚生労働省「令和6年 賃金構造基本統計調査」によると、柔道整復師を含む「その他の保健医療従事者」の平均年収は約430万円です。自分の現在地がこの相場のどこにあるかを知っておくと、交渉の材料になります。年収だけでなく、自費施術の比率や残業の実態といった数字も比較対象に加えると、長く働ける職場かどうかの判断精度が上がります。柔道整復師の年収相場(年代・職場別)をチェックする
※ 出典:厚生労働省「令和6年 賃金構造基本統計調査」。柔道整復師を含む複数職種の平均値であり、単独の数値ではありません。
在職中の転職活動を職場にバレずに進める5ステップ

ステップ1|転職の軸(年収・休日・キャリア)を言語化する
動き出す前に「何のために転職するのか」をはっきりさせます。年収を上げたいのか、休日を増やしたいのか、自費施術のスキルを伸ばしたいのか、それとも整形外科や訪問マッサージなど職場の種類を変えたいのか。軸が曖昧なまま求人を見ると、目先の好条件に振り回されます。
紙に「絶対に譲れない条件」と「あれば嬉しい条件」を3つずつ書き出すだけで、求人を見る目が変わります。例えば「年収350万以上・完全週休2日・自費比率30%以上」を譲れない条件と決めておけば、それを満たさない求人は最初から候補に入れなくて済みます。これが後の年収交渉でも判断基準になります。治療家の転職での年収交渉の進め方はこちら
ステップ2|在職中でも使える治療家向け転職エージェントに登録する
在職中は求人を探す時間が限られます。そこで頼りになるのが、治療家に特化した転職エージェントです。非公開求人の紹介や、勤務時間外での連絡対応など、働きながらでも進めやすい仕組みが整っています。年収交渉や面接日程の代行まで行ってくれるため、1人で動くよりも短期間で質の高い求人に出会いやすくなります。登録は無料で、「すぐ転職せず、まず相談だけ」という使い方もできます。
複数の転職エージェントを比較して、自分に合ったアドバイザーを選べるサービス。治療家の転職実績があるエージェントを紹介してもらえます。在職中の連絡しやすい時間帯も相談できます。
ステップ3|見学・面接はシフトの休日や勤務後に設定する
在職中の活動で最大の壁が、面接日程の確保です。平日の日中に何度も抜けると不自然に映るため、見学や面接はシフトの休日、または勤務後の時間帯に組むのが基本です。接骨院の勤務は午前・午後・夜間と分かれていることが多いため、午前休みのシフトを面接日に充てる方法も有効です。
エージェント経由なら、先方への日程調整を代行してもらえるので「治療家側の都合に合わせてほしい」と一言伝えておくとスムーズです。「夜間診療のない職場で働いている」「土日休みのシフトが取りやすい月に集中したい」など、自分のシフトの特性を最初に共有しておくと、より配慮してもらえます。面接で何を聞かれるか不安な人は、事前に質問の傾向をつかんでおくと当日落ち着いて臨めます。転職面接で聞かれる質問と治療家のアピール方法を詳しく見る
なお、転職活動を始めるタイミング自体にも、院の繁忙期・閑散期によってベストシーズンがあります。いつ動き始めるか迷っている方は参考にしてみてください。柔道整復師の転職に適した時期の目安はこちら
ステップ4|SNS・口コミサイト・求人アプリの身バレ対策をする
意外と見落とされがちなのが、デジタル面での身バレです。求人アプリの通知が施術中に画面に出る、口コミサイトに本名で投稿する、SNSで転職をほのめかすといった行動が、同僚や院長に気づかれるきっかけになります。治療家業界は働き手のコミュニティが狭く、同期や先輩が今の職場の知人と繋がっているケースも少なくありません。
対策はシンプルです。求人アプリの通知はすべてオフにし、エージェントとの連絡は勤務後の時間帯に固定します。口コミやSNSは個人を特定されない範囲にとどめ、職場の同僚と繋がっているアカウントでは転職に関する投稿や「いいね」を避けます。職場の共有PCやWi-Fiで求人サイトを開かないことも大切です。エージェントとのやり取りは、メールやチャットを中心に設定しておくと着信音が鳴るリスクを減らせます。
ステップ5|内定獲得後に逆算して退職を切り出す
退職を切り出すのは、内定を獲得してからが鉄則です。先に辞意を伝えてしまうと、転職先が決まらないまま居場所を失うリスクがあります。院長との関係が親密な職場ほど、辞める話を早めに持ち出すと「残ってほしい」「給料を上げるから」と引き止めが長引き、活動全体が乱れます。
内定先の入職日から逆算し、引き継ぎ期間を見込んで1〜2ヶ月前を目安に院長へ伝えます。民法上は2週間前の申し出で退職できますが、就業規則で「1ヶ月前」「2ヶ月前」と定められているケースも多くあります。退職手続きや有給消化のルールは勤務先の就業規則・雇用契約によって異なるため、最終的な判断は自分の契約内容を必ず確認してください。
在職中の転職活動でやりがちな失敗と対策

転職活動が「バレた」きっかけTOP3と回避法
在職中の転職がバレる原因の多くは、ちょっとした不注意です。よくあるパターンを整理します。
| バレたきっかけ | 回避法 |
|---|---|
| 休憩中に求人アプリ・通知を見られた | 通知をオフにし、休憩室では開かない |
| 平日に何度も私用で抜けて怪しまれた | 面接は休日・勤務後に集約する |
| 同僚に「転職を考えている」と話した | 内定までは誰にも言わない |
共通するのは「内定が出るまでは口外しない」という姿勢です。治療家の現場では、普段から関係が密なぶん、何気ない会話が院長の耳に届くことがあります。信頼できる同僚に相談したくなる気持ちは理解できますが、内定が取れるまでは1人で抱えておく覚悟が必要です。
繁忙期に動いて消耗する・院長に強く引き止められる
繁忙期に活動を始めると、本業と転職活動の両立で消耗します。一般的に接骨院・整骨院は年末年始(12月〜1月)やゴールデンウィーク明け、インフルエンザの流行期などに患者数が増える傾向があります。自院のシフトと照らし合わせ、比較的余裕のある時期に活動を集中させると、体力的にも続けやすくなります。
また、退職を伝えた際に強く引き止められるのも治療家あるあるです。人手不足の現場ほど「給料を上げるから残ってほしい」と言われがちですが、その場の感情で残ると同じ不満が再燃します。引き止めを想定して、あらかじめ「転職後に実現したいこと」を言語化しておくと、感情に流されず返答できます。辞める判断に迷いがある人は、後悔しないための基準を先に整理しておくと、引き止めにも揺らぎません。治療家を辞めて後悔しないための判断基準を確認する
在職中の転職を効率化する転職エージェントの使い方
限られた時間で活動するなら、サービスの選び方が結果を左右します。治療家が使える主な転職手段を比べてみます。
| サービス種別 | 特徴 | 在職中サポート | 向いている人 |
|---|---|---|---|
| 治療家専門エージェント | 柔整・鍼灸求人に特化。非公開求人が多く年収交渉も代行 | 連絡時間帯の調整に柔軟 | 業界内で確実に転職したい人 |
| 総合型転職エージェント | 求人数は多いが治療家求人は少なめ | 担当者により対応に差 | 異業種も視野に入れたい人 |
| 求人サイト直接応募 | 自分のペースで探せるが交渉は自力 | 自己管理が前提 | 自分で進めたい人 |
| 知人・院長の紹介 | ミスマッチは少ないが選択肢が狭い | 在職中は相談しづらい | 信頼できる紹介者がいる人 |
※ 各転職サービスの公開情報(2026年5月時点)をもとに作成しています。
治療家専門の転職エージェントを選ぶべき理由
治療家専門のエージェントは、柔道整復師・鍼灸師の働き方や給与体系を熟知しています。「自費比率の高い院」「機能訓練指導員の求人」「整形外科クリニックへの転職」といった業界特有の条件で探せるため、総合型より精度の高いマッチングが期待できます。給与体系が複雑な治療家業界では、基本給・技術手当・歩合の内訳を正しく読み解いたうえで交渉してもらえる点も大きな強みです。年収交渉や面接日程の調整を代行してもらえる点も、在職中には大きな助けになります。
治療家専門の転職エージェント。柔道整復師・鍼灸師の求人に特化し、業界を熟知したアドバイザーが年収交渉まで代行します。在職中の連絡時間帯にも配慮してもらえます。登録無料。
複数登録と「在職中・連絡可能な時間帯」の伝え方
エージェントは1社に絞らず、2〜3社に登録して比較するのがおすすめです。担当者との相性や求人の質には差があるため、複数の視点を持つと選択肢が広がります。実際に登録してみると、担当者の理解度やレスポンスの速さに明確な差を感じることがあります。最終的にメインで使う1社を絞る前に、複数の担当者と話しておくと比較がしやすくなります。
登録時には「現在在職中であること」「連絡可能なのは平日20時以降と休日」を最初に伝えておきます。これだけで、勤務中に着信が入って気まずい思いをするのを防げます。やり取りはメールやチャット中心にしてもらうと、よりバレにくくなります。初回面談も、ZoomなどオンラインFormで対応してくれるエージェントを選ぶと、外出せずに済んで安心です。
よくある質問(FAQ)
在職中の転職活動はどのくらいの期間がかかる?
一般的には2〜3ヶ月が目安です。在職中は活動できる時間が限られるため、離職後より長引くこともあります。求人への応募から内定まで2〜4週間、内定から入職まで1〜2ヶ月が一般的な流れです。ただ、エージェントを使って非公開求人を効率よく紹介してもらえば、働きながらでも3ヶ月以内に内定にたどり着くケースは珍しくありません。活動の初期は求人への応募よりも、自分の軸の整理とエージェントとの面談に時間をかけると、後半の選考がスムーズに進みます。
職場に転職活動がバレたらどうすればいい?
まず慌てないことです。法律上、転職活動そのものは労働者の自由であり、それを理由に不利益な扱いを受けるいわれはありません。もし院長から問われた場合は、内定が出ていない段階なら「キャリアの相談をしている」程度にとどめ、内定後であれば誠実に退職の意向を伝えます。気まずさを最小化するには、引き継ぎを丁寧に行う姿勢が一番効きます。残りの在職期間も誠実に働くことが、後々の業界内での評判を守ることにつながります。
在職中だと有給は使える?退職を切り出すベストタイミングは?
有給休暇は在職中であれば取得でき、面接や見学に充てることも可能です。ただし取得ルールは勤務先の就業規則によって異なるため、事前に確認しておきます。有給が取りにくい職場では、エージェントに「平日午前休みが取れる日に集中したい」と伝えると、日程調整の融通を効かせてもらいやすくなります。退職を切り出すタイミングは、内定獲得後かつ入職日から逆算した1〜2ヶ月前が目安です。引き継ぎ期間を確保することで、円満に次のステージへ進めます。
まとめ|治療家こそ在職中に動けば、年収もキャリアも守れる
在職中の転職活動は、収入を守りながら冷静に職場を選べる、治療家にとって最も現実的な進め方です。軸を言語化し、専門エージェントに登録し、面接は休日に組み、身バレ対策を徹底し、内定後に退職を切り出す。この5ステップを押さえれば、職場に気づかれず次の一歩を踏み出せます。
活動時間の確保が難しい、バレるリスクがあるといったデメリットも確かにあります。だからこそ、限られた時間を補ってくれる転職エージェントを味方につけるのが近道です。まずは無料相談から、静かに情報収集を始めてみてください。


