柔道整復師の求人数は全国的に高水準ですが、都道府県によって「採用されやすさ」には大きな差があります。同じ資格を持っていても、どの地域で転職活動をするかで内定までの難易度はまるで変わります。
この記事では、厚生労働省「ハローワーク職業別有効求人倍率」のデータをもとに、柔道整復師の有効求人倍率を都道府県・地方ブロック別に比較します。数字の読み方から転職活動への活かし方まで整理します。
柔道整復師の有効求人倍率の現状|全職種と比べてどのくらい高いか
有効求人倍率とは?柔道整復師が転職前に知っておくべき数字の読み方
有効求人倍率とは、ハローワークに登録された有効求人数を有効求職者数で割った値です。1.0倍を超えると求職者が有利な市場を示し、高いほど採用されやすい状態です。ただし、転職サイトやエージェント経由の求人は含まれないため、あくまで参考指標として扱う必要があります。
全職種平均と柔道整復師の有効求人倍率の比較(令和4年度データ)
令和4年度(2022年度)の厚生労働省データでは、全職種平均1.31倍に対し、柔道整復師は3.60倍と約2.7倍の水準にあります。整骨院の新規開業が続く一方、資格取得者の絶対数が追いついていないことが背景です。
| 年度 | 全職種平均倍率 | 柔道整復師倍率 | 全職種との差 |
|---|---|---|---|
| 令和元年度(2019年度) | 1.63倍 | 3.12倍 | +1.49倍 |
| 令和2年度(2020年度) | 1.18倍 | 2.91倍 | +1.73倍 |
| 令和3年度(2021年度) | 1.13倍 | 3.28倍 | +2.15倍 |
| 令和4年度(2022年度) | 1.31倍 | 3.60倍 | +2.29倍 |
| 令和5年度(推計) | 1.29倍 | 3.70倍前後 | +2.41倍前後 |
※出典:厚生労働省「医療・介護分野の有効求人倍率」ハローワーク職業別有効求人倍率報告書。令和5年度は推計値。年度・調査時点により変動します。
コロナ禍の令和2年度に全職種平均が1.18倍まで落ち込んだ中でも、柔道整復師は2.91倍を維持しました。治療院・整骨院への需要が景況変動の影響を受けにくい業種であることを示しています。
【都道府県別】柔道整復師の有効求人倍率ランキング
| 都道府県 | 有効求人倍率(令和4年度) | 傾向コメント |
|---|---|---|
| 兵庫県 | 5.50倍 | 大手チェーン院が集中。年間を通じて採用枠がある |
| 宮城県 | 5.37倍 | 養成校が少なく人手不足が慢性化。選考が速い |
| 愛知県 | 5.14倍 | 名古屋圏を中心にスポーツ系・美容鍼系院が増加 |
| 京都府 | 4.59倍 | 観光客向け鍼灸整骨院も増え求人の幅が広い |
| 大阪府 | 4.37倍 | 求人数は多いが競合求職者もある程度いる |
| 福岡県 | 3.11倍 | 九州の中心地として求人は安定水準 |
| 東京都 | 3.08倍 | 求人は多いが求職者も集中し倍率は全国平均以下 |
| 北海道 | 2.03倍 | 面積が広く地域格差が大きい。札幌と地方で実態が異なる |
| 神奈川県 | 1.61倍 | 東京の求人と求職者が重複し見かけの倍率が下がる |
| 広島県 | 1.20倍 | 県内養成校が多く卒業生供給が需要を上回る |
※出典:ハローワーク職業別有効求人倍率報告書(令和4年度)を参考に作成。実際の数値は調査時点により異なります。最新値は各機関の公式ページでご確認ください。
求人倍率が高い都道府県トップ10|求人が多く採用されやすい地域
兵庫・宮城・愛知の上位3県に共通するのは大手整骨院チェーンの出店集中です。チェーン院は複数院を同時展開し年間通じて採用枠を確保するため求人数が上がります。養成校が少ない宮城(5.37倍)は資格取得者不足が慢性化し求職者に有利な市場が続いています。求人倍率のデータをもとに柔道整復師の転職最適タイミングを判断するうえでも、こうしたエリアは転職の好機が出やすい特徴があります。
求人倍率が低い都道府県|競争率が高く採用難の地域の実態
広島(1.20倍)や神奈川(1.61倍)で倍率が低い主因は求人不足ではなく養成校卒業生の供給過多です。広島は卒業生数が地元の求人数を上回る状態が続き、神奈川は東京との通勤圏重複で見かけの倍率が下がる傾向があります。
地域差が生まれる理由|整骨院数・高齢化率・養成校数との関係
有効求人倍率の地域差には主に3つの要因が絡みます。①整骨院の分布(都市部集中だが求職者も集中し倍率は単純比例しない)②養成校の所在(少ない地域は人手不足が慢性化)③高齢化率(高い地域は整骨院への来院が安定し採用ニーズが維持)。東北・北陸が高倍率を維持している背景にはこの②③の複合があります。
【地方ブロック別】求人傾向と転職しやすさを比較
| 地方ブロック | 代表的な倍率 | 求人傾向 | Uターンのしやすさ |
|---|---|---|---|
| 北海道・東北 | 2.0〜5.4倍 | 仙台・札幌に集中。地方は少ないが好条件が出やすい | ◎ |
| 関東 | 1.6〜3.1倍 | 東京の大手チェーン中心。競合求職者が多い | △ |
| 北陸・甲信越 | 2.8〜3.9倍 | 個人院が多く長期勤務を重視する傾向 | ○ |
| 東海 | 3.5〜5.1倍 | 名古屋圏の大手に加えスポーツ系も多い | ○ |
| 関西 | 4.4〜5.5倍 | 全国最高水準。美容鍼との複合求人が増加中 | ○ |
| 中国・四国・九州 | 1.2〜3.1倍 | 地域差が大きい。福岡は安定、広島は供給過多 | △ |
※出典:ハローワーク職業別有効求人倍率報告書・各都道府県労働局データ(令和4年度)を参考に作成。
東北・北海道エリアの求人傾向(宮城5.37倍など高水準)
宮城(5.37倍)を筆頭に東北エリアは全国でも高倍率を維持しています。仙台市内の大手チェーン院への出店が続き、未経験者でも採用されやすい地域です。北海道は平均2.03倍ですが、地方部では条件交渉の余地がある求人も出ています。
関西・東海エリアの求人傾向(兵庫5.50倍・愛知5.14倍など)
関西エリアは兵庫(5.50倍)・京都(4.59倍)・大阪(4.37倍)と全国最高水準が集中しています。東海エリアでは愛知(5.14倍)がトップクラスで、スポーツ系・経験者向けの待遇が整いやすい傾向があります。
関東エリアの求人傾向(東京3.08倍・神奈川1.61倍の差の背景)
東京(3.08倍)と神奈川(1.61倍)の大きな差は、神奈川在住の求職者が東京の求人にも応募するため見かけの競合が増えることが一因です。実態として関東エリアの求人市場全体で動いていると考えるのが現実的です。求人倍率の高い地域で多い転職先の種類を比較すると、関東では大手チェーンと特化型専門院で求人傾向が大きく異なることがわかります。
地域別求人倍率データを転職活動にどう使うか
求人倍率の高い地域へ転職するメリット・デメリット
求人倍率が高い地域は採用競争が少なく内定率が上がりやすく、選考が速いため在職中でも動きやすいです。一方、採用ハードルが下がる分、職場環境や給与水準に問題がある求人が紛れることもあります。倍率だけで転職先を選ぶとミスマッチが起きやすい点は押さえておく必要があります。
Uターン・Iターン転職で求人倍率の高い地域を狙う判断軸
倍率が高い地域は競合が少ないため「年収を落とさず地元に戻る」交渉がしやすい傾向があります。ただし、柔道整復師の年代別・地域別年収の全データを確認すると、倍率が高くても地方の給与水準は都市部より低いことが多いのが現実です。倍率と年収を両方確認し、希望する施術スタイルが多い地域かも判断軸に加えましょう。地域別の求人市場を踏まえた柔道整復師のキャリアプランを考えることで方向性が整理しやすくなります。
転職エージェントを使って地域別求人を効率よく探す方法
ハローワークのデータは全体傾向の把握には使えますが、個別の求人条件(給与・休日数・施術方針)まではわかりません。転職エージェントを活用すると、倍率データで「どこに多い」を把握したあと「どこに自分に合う求人があるか」まで掘り下げることができます。柔道整復師専門のエージェントは地域別の年収相場や非公開求人情報を持つため、希望エリアを複数指定して早めに相談するのが効率的です。
よくある質問(FAQ)
有効求人倍率が高いのに年収が低い地域があるのはなぜ?
有効求人倍率は「採用されやすさ」の指標であり、年収の高さを示すものではありません。地方では採用ニーズがあっても給与水準が都市部より低い場合が多く、倍率と年収は必ずしも比例しません。求人ごとの条件を個別に確認することが重要です。
地方と都市部では柔道整復師の年収にどれくらい差がある?
厚生労働省「賃金構造基本統計調査」では、医療・福祉系職種の年収は都市圏と地方で年間30〜80万円程度の差があるとされています。ただし院の規模や経験年数により個人差が大きく、地方の大手チェーン院であれば都市部の中小院を上回るケースもあります。
地域を絞り込む際に転職エージェントに聞くべきことは?
確認しておきたい点は3つです。①希望エリア内の非公開求人数、②希望年収・休日条件を満たす求人が実際にあるか、③同エリアの直近の採用動向(どの院が積極採用中か)です。有効求人倍率はあくまで全体傾向であり、個別の院レベルの情報はエージェントを通じて確認するのが現実的です。
まとめ|柔道整復師が地域別データを使って転職成功率を上げる方法
柔道整復師の有効求人倍率は全国平均3.60倍と全職種平均1.31倍を大きく上回りますが、都道府県によって兵庫5.50倍から広島1.20倍まで開きがあります。倍率が高い地域は採用されやすく選考も速い半面、全ての求人が好条件とは限りません。
地域別データを活かした転職の流れは①有効求人倍率で採用されやすい地域を把握→②年収データと合わせて希望エリアを絞る→③エージェントで非公開求人を含む実情を確認、の3段階です。倍率を「地図」として使い、エージェントで実情を掘り下げてから動くことが転職成功率を上げる近道です。
※出典:厚生労働省「医療・介護分野の有効求人倍率」「賃金構造基本統計調査」JILPT(労働政策研究・研修機構)・ハローワーク統計(令和4年度)。有効求人倍率は調査時点・経済状況により変動します。「倍率が高い地域なら必ず転職できる」という保証ではなく、参考指標の一つとしてご活用ください。


