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僕は整骨院で8年働いた柔道整復師です。「自分の勤める院は大丈夫だろうか」「独立しても潰れないだろうか」って、不安になりますよね。倒産・廃業のニュースが増えている今だからこそ、数字の実態と、治療家が取れる現実的な備えを正直にまとめました。
「整骨院は供給過多でもう食えない」「開業しても5年以内にほとんどが廃業する」。業界でよく耳にする話ですが、実際の倒産率・廃業率はどれくらいなのか。
近年、整骨院を含むマッサージ業の倒産は増加傾向にあります。背景は供給過多、療養費(保険請求)の厳格化、ゼロゼロ融資の返済開始といった構造的要因です。この記事では東京商工リサーチや中小企業庁の一次データをもとに実態を整理し、勤務先が傾いたときの見極め方と今からできる備えまで解説します。
整骨院の倒産率・廃業率は実際どれくらい?最新データで見る実態
まず押さえたいのは、整骨院(接骨院)を含む「マッサージ業」の倒産がここ数年で急増している事実です。直近の動向を年単位で見ると、増加トレンドがはっきり表れています。
| 年(マッサージ業) | 倒産件数(概数) | 特徴・背景 |
|---|---|---|
| 2021年 | 約20件台 | コロナ禍で来院数減。融資で資金を確保 |
| 2022年 | 約30件前後 | 来院数が回復せず固定費が重荷に |
| 2023年 | 約40件前後 | 融資返済開始。物価・光熱費が利益を圧迫 |
| 2024年 | 過去最多水準 | 供給過多と療養費厳格化で収益悪化 |
| 2025年上半期 | 55件 | 過去20年で最多。8割超が売上不振 |
※ 出典:東京商工リサーチ「マッサージ業の倒産動向」。件数は調査時点の概数で集計基準により変動します。2025年上半期の55件は同社が「上半期として過去20年で最多」と報告した水準です。
マッサージ業の倒産は2025年上半期で過去20年最多という事実
東京商工リサーチによると、2025年上半期のマッサージ業の倒産は55件で、上半期として過去20年で最多となりました。原因の8割超は「売上不振」。特殊な経営失敗ではなく、患者が集まらず売上が立たないという、どの院にも起こりうる理由で行き詰まっています。整骨院は一人でも開業でき初期投資も小さいため新規開業が絶えず、その分だけ撤退も多い市場です。
「5年以内に廃業」「95%が潰れる」説はどこまで本当か
SNSや一部サイトでは「整骨院は5年以内に9割が廃業」「95%が潰れる」といった数字が独り歩きしています。ただ、これらは明確な一次ソースがないものが多く、鵜呑みは危険です。
中小企業庁「中小企業白書」が示す開業企業の生存率を見ると、業種を問わず起業後の数年で一定割合が市場から退出する傾向はあります。整骨院も例外ではありませんが、「95%が廃業」と断定できる公的データは存在しません。実態は「廃業リスクが構造的に高まっている」と捉えるのが正確で、過度に怯える必要はないものの楽観もできない、というのが冷静な見方です。
同じ柔道整復師でも、勤め先の経営体力によって将来の安定度はまるで違います。柔道整復師の年収の実態とあわせて、自分の働く環境がどの位置にあるかを把握しておくと判断を誤りにくくなります。
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倒産件数より多い「休廃業・解散」という隠れた実態
倒産件数だけを見ると実態を見誤ります。整骨院の多くは「倒産」の形を取らず、静かに店を畳む「休廃業・解散」で市場から消えていくからです。
中小企業全体では、休廃業・解散の件数は倒産の約7倍にのぼります。倒産が負債を抱えて法的に行き詰まった状態を指すのに対し、休廃業・解散は赤字になる前に経営者が自主的に店を閉めるケースを含みます。個人経営の整骨院ではこの「静かな撤退」が多く、ニュースに出ない分、勤務する治療家には予兆をつかみにくい怖さがあります。
整骨院が倒産・廃業に追い込まれる5つの主な原因
なぜ整骨院は潰れるのか。原因は一つではなく、複数の要因が連鎖して経営を圧迫します。代表的な5つを、起こる背景と治療家側の備えとあわせて整理します。
| 原因 | 起こる背景 | 治療家側の備え・回避策 |
|---|---|---|
| 供給過多 | 参入障壁が低く開業が乱立 | 集患力のある院・地域を選ぶ |
| 療養費の厳格化 | 審査強化で保険売上が減少 | 自費比率の高い院を選ぶ |
| 融資返済と物価高 | 融資返済と人件費・光熱費の上昇 | 資金繰り・賞与の安定性を確認 |
| 集客設計の欠如 | 技術力への過信で集客が手薄 | 新患導線・リピート施策がある院を選ぶ |
| 甘い資金繰り | 撤退ラインを決めず赤字を放置 | 給与遅配など危険サインで早めに動く |
※ 参考:東京商工リサーチ「マッサージ業の倒産動向」、中小企業庁「中小企業白書(2025年版)」をもとに構成。
原因1:接骨院の供給過多による患者の奪い合い
整骨院・接骨院の施術所数はコンビニの店舗数を上回るとも言われます。資格があれば一人でも開業できるため新規参入が絶えず、限られた地域の患者を多数の院で奪い合う構造です。1院あたりの来院数が薄まれば、売上は立ちにくくなります。
原因2:療養費(保険請求)の厳格化による収益悪化
整骨院の経営を支えた保険(療養費)の請求は、年々審査が厳しくなっています。負傷原因の確認が強化され、慢性的な肩こり・腰痛は保険適用外とされる場面が増えました。保険売上に依存した院ほど打撃が大きく、自費への転換が間に合わなければ収益が一気に悪化します。
原因3:ゼロゼロ融資の返済開始と物価・人件費の高騰
多くの院が利用した実質無利子・無担保のゼロゼロ融資は、据置期間が終わり返済フェーズに入りました。来院数が戻らないまま返済が始まり、光熱費・人件費の高騰も重なる。この三重苦でキャッシュが枯渇し、黒字でも資金ショートで閉院に至るケースが目立ちます。
原因4:集客・リピート設計の欠如と技術力への過信
「腕がよければ患者は来る」という考えだけでは、今の市場で生き残れません。技術が高くても、新患を呼ぶ導線と再来院を促す仕組みがなければ予約は埋まらないからです。集患やリピート設計を後回しにした院ほど、競合が増えたときに失速します。
原因5:撤退ラインを決めていない甘い資金繰り
潰れる院に共通するのが、「いくら赤字が続いたら畳むか」という撤退ラインを決めていないことです。なんとかなると赤字を垂れ流し、運転資金が尽きてから慌てる。経営者が動けないと、給与遅配や賞与カットの形で、しわ寄せは治療家に及びます。

僕がいたエリアでも近所の整骨院が閉院しました。最後は1日の来院数が30人から8人まで落ち込み、月商も120万円台から50万円を切る月が続いたそうです。勤続5年の知り合いは、給与の遅配が2回起きてから慌てて動き始めました。数字は正直で、傾く院は来院数にはっきり予兆が出ます。
勤務先の整骨院が倒産・廃業しそうなときの見極め方
倒産・廃業は、ある日突然やってくるわけではありません。経営が傾く院には必ず予兆が出ます。早めにサインを読み取れれば、巻き込まれる前に動けます。
経営悪化のサイン(求人停止・備品の劣化・給与の遅れ)
危険サインはいくつかあります。退職者を補充しない、備品の補充が滞る、清掃や設備メンテが雑になる、賞与カットや昇給見送りが続く——これらはコストを切り詰めている証拠です。最も決定的なのは給与の遅れ。給与遅配が一度でも起きたら、資金繰りはかなり危うい段階です。来院数の推移も重要で、繁忙時間帯でも予約が埋まらない日が増えたら売上の土台が崩れ始めたサインです。求人票や職場の見極め方も知っておくと、変化を客観的に判断しやすくなります。
廃業に巻き込まれる前に動くべきタイミング
動くべきタイミングは「サインが2つ以上重なったとき」です。求人停止と賞与カット、あるいは給与遅配と来院数の継続的な減少が重なる段階で転職活動を始めても、良い求人を選ぶ時間は十分残せます。逆に院が行き詰まってから動くと、焦って条件の悪い職場に飛びつきがちです。在職中に余裕を持って情報を集めるのが、最大のリスク回避です。

巻き込まれた知り合いは、閉院通知から再就職まで3か月以上かかり、年収も30万円ほど下がりました。一方、予兆の段階で動いた同期は在職中に2か月かけて探し、自費中心の院へ移って年収が60万円ほど上がっています。動くタイミングひとつで、結果はここまで変わるんです。
廃業リスクに備えて治療家が今からできること
倒産率の数字に怯えても、自分の状況は変わりません。大切なのは、リスクを正しく知ったうえで自分のキャリアを守る選択肢を持つこと。治療家が取れる現実的な選択肢を整理します。
| 選択肢 | 想定リスク | 収入の安定度 | 向いている人 |
|---|---|---|---|
| 今の職場に残る | 廃業に巻き込まれる可能性 | 院の経営体力次第で不安定 | 経営が健全な院にいる人 |
| 早めに好条件へ転職 | 環境変化への適応が必要 | 安定した院を選べば高い | 安定を重視する人 |
| 自分で独立する | 供給過多で集患・資金繰りが厳しい | 軌道に乗るまで不安定 | 経営知識がありリスクを取れる人 |
経営基盤の安定した職場へ早めに転職する
最も再現性が高い備えは、経営基盤の安定した職場へ早めに移ることです。自費比率が高い、新患の導線が整っている、複数院展開で資金に余力がある——こうした院は業界が厳しくても生き残りやすい傾向があります。独立は供給過多の今、難易度が上がっています。まずは安定した環境に身を置き、必要に応じて整骨院から異業種への転職も含めて選択肢を広げるのが堅実です。
転職エージェントで経営の健全な好条件求人を比較する
院の経営状態は求人票だけでは見抜けません。だからこそ、業界に精通した転職エージェントを使う価値があります。エージェントは離職率や経営の評判といった内部情報を持ち、表に出ない「実は危ない院」を避ける手助けをしてくれます。複数の好条件求人を比較できるため、在職中でも効率的に探せます。転職エージェントの比較を参考に、自分に合う1社から登録しておくと安心です。
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まとめ|整骨院の倒産率・廃業率を正しく知り、自分のキャリアを守る
整骨院の倒産は2025年上半期に過去20年で最多となり、その8割超が売上不振でした。ニュースに出ない休廃業・解散は倒産の約7倍規模です。背景は供給過多、療養費の厳格化、融資返済と物価高という構造的要因。「95%が廃業」のような曖昧な数字に振り回される必要はありませんが、廃業リスクが高まっている事実は受け止めるべきです。
傾く院には求人停止・備品の劣化・給与遅配といった予兆が必ず出ます。サインが2つ重なったら、余裕があるうちに動く。経営の安定した職場へ早めに移ることが最も現実的な備えです。柔道整復師のキャリアの広げ方も視野に入れて、選択肢を整理しておきましょう。
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倒産率の数字は、聞くと怖いですよね。でも、怯えて何もしないのが一番危ない。傾く院には必ず予兆が出るし、早く動いた人ほど良い結果になっています。自分のキャリアは自分で守る。その一歩を、不安なうちに踏み出しておきましょう。
※ 本記事の倒産件数・廃業率・年収などの数値は、東京商工リサーチや中小企業庁などの公表資料をもとにした調査時点の目安であり、個別の状況により変動します。具体的な判断は一次資料および専門家への確認をおすすめします。


