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柔道整復師の年収|平均・職場別の実態と収入の上げ方
柔道整復師として働いているのに、年収が思ったより上がらないと悩んでいませんか。この記事では厚生労働省の統計に基づく柔道整復師の平均年収を起点に、職場や雇用形態による収入差、年収が上がりにくい構造的な理由、そして転職・ダブルライセンス・開業まで収入向上の選択肢を具体的に整理します。
柔道整復師の平均年収
厚生労働省統計による平均年収
厚生労働省の賃金構造基本統計調査(令和7年・従業員10人以上の事業所)では、柔道整復師を含む「その他の保健医療従事者」区分の平均年収は約454万円です。同じ調査の全職種平均は約545万円で、柔道整復師を含む区分は約90万円低い水準です。専門学校3年以上の学費と国家試験対策のコストを考えると、費用対効果の面では慎重に見る必要があります。
この統計は従業員10人以上の事業所に雇用されている人が対象で、小規模な整骨院の勤務者や個人開業の院長は含まれません。また、あん摩マッサージ指圧師・鍼灸師なども同じ区分で集計されています。月の所定内給与の中央値は約28.2万円で、平均(約29.5万円)を下回ります。統計の見方ひとつで現実の認識が変わるため、求人や転職を検討するときは「平均」ではなく「自分が入る場所の実態」を個別に確認することが大切です。
| 比較対象 | 平均年収(目安) |
|---|---|
| 柔道整復師(その他の保健医療従事者区分) | 約454万円 |
| 全職種平均 | 約545万円 |
| 理学療法士・作業療法士・言語聴覚士・視能訓練士(合算区分) | 約444万円 |
| 看護師 | 約525万円前後 |
初任給と月給の内訳
賃金構造基本統計調査(令和7年)では、柔道整復師を含む区分の経験0年の所定内給与額は月約24万円です。この金額には基本給のほか、施術手当・皆勤手当・交通費などが含まれるケースがありますが、求人票の内訳は職場によって異なるため、応募前に確認することが重要です。
雇用形態による手取りの差も見落とせません。正社員であれば社会保険(健康保険・厚生年金)が折半で負担されますが、業務委託契約では手取り金額が高く見えても、社会保険料・所得税・確定申告費用をすべて自己負担します。長期的な収入設計を立てるうえで、雇用形態の違いは慎重に確認する必要があります。
整骨院スタッフの手取り月収の実態については、「整骨院スタッフの手取り月収の現実」でさらに詳しく解説しています。
ボーナス・賞与の実態
賞与については、厚生労働省の令和7年度経営実態調査(令和6年度データ)で「常勤職員への賃上げを実施していない施術所が7割以上」というデータがあります。賞与制度の整備状況は職場によって大きく異なるため、求人票で賞与欄を必ず確認することが重要です。
なお、賃金構造基本統計調査(令和7年)では、柔道整復師を含む区分の年間賞与は約72万円(月給の約2.3か月分)です。たとえば月給23万円の院でも、賞与が年2回(計46万円)あれば年収は322万円となり、賞与なしの院と比べると大きな差になります。求人を比較するときは月給の数字だけを見るのではなく、必ず年収ベースで計算してから判断しましょう。
https://www.mhlw.go.jp/content/12404000/001662841.pdf
勤務先・雇用形態別の年収差
整骨院・接骨院勤務の年収水準
柔道整復師の就職先として最も多い整骨院・接骨院における収入水準については、厚生労働省の令和7年度経営実態調査(令和6年度データ)によると、常勤職員(柔道整復師)の平均月例賃金は全体で267,247円(個人施術所243,842円・法人295,652円)です。法人運営の施設ほど給与水準が高い傾向があります。
個人経営の院では、院長の経営方針や患者数によって給与水準が大きく変わります。患者の来院が多く、療養費収入が安定している院では待遇が良好ですが、患者数が少ない院では昇給の余地が乏しくなります。就職前に院の立地・患者層・経営規模を可能な範囲で確認しておくことが、安定した収入の確保に直結します。
また、勤務歴が長くなっても年収が上がらない主な要因として、スタッフ一人あたりの患者数の上限が構造的に存在することも挙げられます。保険施術中心の院では、1施術あたりの療養費が固定されているため、どれだけ技術力を上げても収入には反映されにくい仕組みになっています。
https://www.mhlw.go.jp/content/12404000/001662841.pdf
病院・クリニック・介護施設の年収水準
病院や介護施設に勤務する柔道整復師は、整骨院と比べて給与制度・賞与制度が整っている職場も多く、安定した雇用環境を求める方には有力な選択肢のひとつになります。
介護施設(デイサービス等)では、機能訓練指導員として理学療法士や作業療法士と連携しながら働く場面があります。専門職間の連携スキルや記録・報告書の作成能力が求められるため、整骨院とは異なる職業スキルの習得が必要ですが、その分キャリアの選択肢が広がります。
長期的に安定した収入と福利厚生を求める方にとって、医療・介護分野への転職は有力な選択肢の一つです。
スポーツ施設・フリーランスの年収水準
スポーツチームのトレーナーやフィットネスジムに勤務する柔道整復師は、整骨院とは異なる活躍の場として注目されています。プロスポーツチームの専属トレーナーであれば待遇が大きく改善される場合もありますが、そうしたポジションの数は非常に限られています。
フリーランストレーナーとして複数の施設や個人との契約で収入を組み合わせる方法もあります。ただし、収入が安定するまでに時間がかかる点は、生活費の確保と並行して慎重に検討する必要があります。
年収が上がらない理由の構造
療養費改定による収入構造の変化
柔道整復師の主な収入源は、健康保険を使った療養費です。しかし近年、不適切な請求への対策として、審査や償還払いへの切り替え基準が見直されています。2026年7月の改定では全体で0.60%引き上げられた一方、2部位目の施術に80%の逓減が新たに導入され、初検料の算定ルールや、長期・多部位の患者の償還払いへの切り替え基準も見直されました。単価は上がっても、複数部位を施術する院ほど影響を受ける設計です。
保険収入に依存した経営モデルでは、制度変更のたびに院全体の売上が落ち込むリスクを常に抱えることになります。施術者個人の技術力が上がっても、制度の枠内では収入に反映されにくい構造が続いています。「一生懸命働いているのに給料が上がらない」と感じている施術者の多くが、この収入構造の問題に直面しています。
2026年7月の療養費改定が勤務柔整師の給料に与える具体的な影響については、「2026年7月療養費改定で勤務柔整師の給料はどう変わる?」で詳しく解説しています。
https://www.mhlw.go.jp/content/12404000/001696843.pdf
施術所数と競争環境の実態
令和6年末現在、国内の施術所(整骨院・接骨院)の数は50,924か所で、コンビニエンスストア(2026年8月時点56,189店)の約9割相当という水準です。施術所数はここ数年ほぼ横ばいが続いており、競争環境は依然として厳しい状態にあります。新規開院しても患者を安定的に確保することは容易ではありません。
療養費の総支給額は平成26年度の約3,825億円から令和4年度には約2,747億円まで縮小しています。施術所数がほぼ横ばいで推移する一方、療養費の総額が減少しているため、1施術所あたりの収入は縮小傾向にあります。廃業した院のスタッフが次の求人に転じるため、求人数そのものは一定数確保されているように見えますが、業界全体の規模拡大を意味するわけではありません。求人の多さを「業界が伸びている証拠」と受け取るのは危険です。
働く側の施術者にとっても、勤務先の院が安定した経営を維持できているかどうかが、自身の収入や雇用継続に直接影響します。院の患者数・売上構造・経営方針を就職前・転職前に可能な範囲で確認することが、長期的な収入安定のために欠かせません。
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/eisei/24/dl/gaikyo.pdf
収入向上の手段と選択肢
転職先別の年収変化の実態
転職は収入向上のなかでも即効性が高い手段のひとつです。現在の院での昇給が見込めない場合、雇用条件の良い施設への転職が選択肢になります。特に整骨院から医療機関・介護施設・大手グループ院への転職では、賞与制度の有無や福利厚生の差が年収の改善幅に大きく影響します。
転職先のタイプを変えることが、年収改善の鍵になります。同じ整骨院への横移動ではなく、職場の種別そのものを変える転職の方が、待遇改善幅が大きくなる傾向があります。デイサービスや特別養護老人ホームなど、柔道整復師が機能訓練指導員として働ける介護施設への転職も、収入改善の有力な選択肢のひとつです。
柔道整復師向けの求人動向や転職サイトの比較、職場タイプ別の選び方については、「柔道整復師の求人|転職サイト比較と職場タイプ別の現実」で整理しています。転職を考えている方はあわせて参考にしてください。
ダブルライセンスと資格追加の効果
柔道整復師の資格に加えて関連資格を取得することで、働ける場所が広がり、収入の底上げにつながる場合があります。代表的なダブルライセンスの組み合わせを以下に挙げます。
| 資格 | 主な活用場面 | 取得難易度・期間の目安 |
|---|---|---|
| 鍼灸師(はり師・きゅう師) | 訪問鍼灸・自費メニューの拡充 | 専門学校3年以上 |
| 理学療法士(PT) | 医療機関・介護施設での機能訓練 | 専門学校・大学3〜4年(卒業で国家試験の受験資格) |
| NSCA-CPT(パーソナルトレーナー) | フィットネス・スポーツ分野での自費施術 | 独学・通信で受験可能 |
| 介護福祉士・ケアマネジャー | 介護施設でのキャリアアップ | 介護福祉士は国家試験・ケアマネジャーは実務経験5年以上で都道府県の試験 |
ただし、資格取得には時間とコストがかかります。鍼灸師の養成課程は法令上3年以上と定められており、専門学校への通い直しが必要です。取得後に収入がどの程度増えるかを具体的にイメージしてから判断することをおすすめします。NSCA-CPTのようにコストと期間が比較的少ない資格から始め、まずは職域を試験的に広げてみる方法も現実的な選択肢です。
独立開業の収入と開業費用の実態
独立開業は、収入の上限を自ら設定できる選択肢です。整骨院に限った開業費用の公的統計はありませんが、日本政策金融公庫の2025年度新規開業実態調査(全業種)では開業費用の平均値は975万円、中央値は600万円で、250万円未満と250〜500万円未満を合わせると4割以上を占めます。物件の取得・内装工事・医療機器の購入・初期の広告費・運転資金を合算すると、相当な資本が求められます。
収益モデルによっても年収の実態は大きく変わります。保険施術を中心とする院では療養費が主な収入源となりますが、前述のとおり制度変更リスクを常に抱える形になります。一方、自費施術(整体・スポーツリハビリ・ストレッチ専門など)を軸にした院は、保険の制約を受けずに施術単価を自由に設定できます。患者数が安定すれば、雇用形態では届かない年収を実現しやすくなる構造です。
保険中心の院では、療養費の単価が固定されているため、収益を上げるには施術件数を増やすか、物販・自費メニューを併設するしかありません。開業前に「保険中心か自費中心か」の収益モデルを明確にし、立地・ターゲット患者層・初期投資の回収シミュレーションを十分に行うことが重要です。
年収1,000万円規模を目指す具体的なロードマップについては、「柔道整復師が年収1000万に到達する現実的なロードマップ」で詳しく解説しています。
https://www.jfc.go.jp/n/findings/pdf/kaigyo_251205_1.pdf
柔道整復師の年収に関するよくある質問
Q1. 柔道整復師の年収は他の医療職と比べてどの水準ですか?
厚生労働省の賃金構造基本統計調査(令和7年)では、柔道整復師を含む区分の平均年収は約454万円とされています。同じ統計で比べると、理学療法士・作業療法士等(約444万円)と近い水準で、看護師(約525万円前後)や薬剤師(約567万円前後)より低い水準です。専門学校の学費を考慮すると費用対効果の面での検討が欠かせません。
Q2. 開業すれば年収は上がりますか?
開業は年収を大きく上げられる可能性がある一方で、リスクも伴います。自費施術中心で患者数を確保できれば収入を大きく伸ばせる可能性がありますが、患者獲得に苦労して廃業するケースも少なくありません。開業前に資金計画・立地選定・収益モデルを十分に設計することが欠かせません。
Q3. 転職で年収を上げるために注意すべき点は何ですか?
月給の金額だけでなく、賞与の有無と支給額・社会保険の加入状況・残業代の計算方法を必ず確認することが重要です。同じ整骨院への横移動よりも、医療機関や介護施設など職場タイプを変えた転職の方が待遇改善幅が大きくなる傾向があります。治療家専門の転職エージェントを活用することで、条件交渉を含めたサポートを受けることもできます。
Q4. 鍼灸師とのダブルライセンスは年収向上に有効ですか?
鍼灸師資格を追加することで訪問鍼灸や自費メニューの幅が広がり、収入の底上げにつながる場合があります。ただし、鍼灸師の養成課程は法令上3年以上と定められており、専門学校への通い直しが必要です。取得後の活用イメージと期待される収入増加額を事前に試算してから判断することをおすすめします。
Q5. 柔道整復師として長期的に安定した収入を得るにはどうすればいいですか?
保険施術だけに依存するキャリアは、療養費改定の影響を直接受け続けます。自費施術スキルの習得・ダブルライセンスの取得・医療介護分野への転職などを組み合わせて、複数の収入源を持てるキャリア設計を早い段階から意識することが長期的な安定につながります。
まとめ
柔道整復師の年収が伸び悩む根本には、保険収入への依存と施術所の競争環境という構造的な問題があります。平均年収約454万円という数字を前提に、転職・ダブルライセンス・自費施術への転換をキャリアの早い段階から意識することが収入向上への近道です。転職先の選定に迷っている方は、まず専門エージェントに相談してみましょう。


